マイナス金利ーリーマショック以降の経済理解の穴をうめる
マイナス金利の本を読みました。 大変わかりやすいのだが、なかなか時間がかかってしまった。
日銀がマイナス金利を導入前に書かれた本だけども、この本の主張は、既にマイナス金利は発生しているというもので、円でドルを調達するとき、円とドルを相互に貸し合って調達するのだが、その二つの金利の組み合わせで、マイナスになってしまうというもの。
日本国債はこんなに金利が安いのに、なぜ買われているのかというと、なんと海外投資家からすると実質マイナス金利の効果により、米国債並みの金利となるということだ。
また、改めて日銀の異次元緩和が物凄い規模のもので、わかっていたが、財政ファイナンスつまり日銀による国債の直接引き受けが実質的に行われているという認識をもった。陰謀論的になってしまうが、海外の投資家は優遇して、国内はマイナス金利によりジワジワと困窮化政策を実施しているが、国債は実質無負担。
なんせ金利とは本来成長率の目安である。
日銀の生データを見たいと思ったが、日銀の統計のページをちらっとみたけど、どこでグラフ見ればいいか。後でまたじっくり見る。
で、今回実施した日銀のマイナス金利だが、日銀の当座預金に対する付利0.1%の金利引き下げだが、そもそもこの付利自体、2008年に導入されたものだそうだ。
当座なので金利はつかないのは当然か。リーマンショック後の量的緩和で、銀行の国債を日銀が買い入れ、当座預金に積み立てられるので、それに対する措置として導入されたらしい。
リーマンショック後の経済世界は激しく動いているが、全然フォローできていなとおもった。マーティン・ウルフの本も読んだが、情報量多くて、ほとんど理解はできていない。断片的なことはわかるのだが。
リーマンショックの後遺症として、自己資本の比率があがっているから、実際は貸し出しはしにくくなっているのだろう。また、マネーがあふれていて企業は資金調達しやすくなったが、借金をして自己株式を取得することにより、ROE、自己資本(株主資本)に対する利益率を分母を減らして、あげているそうで、そーいえば、自己株式取得の社外情報はよく見るなと思った。
子供の論理、親の論理、大人の論理
十代のとき、オウムについてマイブームがあって、関連本読んだときに、洗脳原論で苫米地英人さんを知って、まさかこんなに本が出るとは思わなかったが、毎回ポイントとかで新刊を買い、速攻で読んで、マーケットプレイスで出品ですぐさま売れていって、私的にはポイントの換金しているような感じです。今回は遅れがあまりなくKindleで出たので、そちらで購入。
内容は、毎度同じなようにみえて、ちょっとづつ違うことがあって、なんだかんだで侮れない。以下、おもしろかったところ。
- 子供の論理・・・自分のメリットだけを考える。
親の論理 ・・・場合によって、自分より子供のメリットを優先する
大人の論理・・・社会にとってよいことを考える。 - 即断即決には、「グレインサイズ(抽象度)」、「クロックサイズ」、「知識量」の3つが重要で、その中で、知識量が一番重要。
- 今回、知識量に突っ込んでいて書いている(本を読むとかだけではなく)。
現実を観察し体系化し、既にある知識体系と照らしあわせて、新たな知識を体系化していく。
戦争尽きて平和になる
「歴史上、自暴自棄で戦争を始めた国があるなら言ってみたまえ」
戦後史の解放I 歴史認識とは何か: 日露戦争からアジア太平洋戦争まで (新潮選書)
それが日本である、情けない。
予算と省庁の利害とで「両論併記」と「非決定」での開戦決定とか、インテリジェンスは結論と合わないから、報告書を焼却するとか。日本の統制を外れ、まるで中国の軍閥みたいな関東軍。
リーダーはコロコロ変わる。チャーチルとか各国の戦争期の質と全然違うよね。
ヨーロッパはあくまで第一次世界大戦の方が重く。
それによって、生まれたリベラル思想がある。
第二次世界大戦でもヨーロッパと日本は違っていて、日本は15年戦争だが、ナチスは6年だし、ドイツが敗戦した後に既に戦後の国際秩序話し合い済み。
しかし、なんだかんだで戦前日本は大国であって、強烈な存在感があったことも確か。
ノモンハン事件も日本の一方的負けで陸軍弱いと思っていたが、が、最新の資料ではソ連も同じぐらいの被害らしい。戦略爆撃も日本が世界で初めて実践した。
そして、日本の戦争関連では、1900万人以上死んだと言われる。
大戦争である。徹底的にやった。それがあり、今の日本がある。
パワーを出し尽くしたんだ。
これからは、戦争やるとしてら、まだくすぶってる国、第二次世界大戦であまり戦っていないし勝っていない中国とか気になるし、中東イスラムでの大戦争は大変なことだが、平和のためには決着がつかないといつまでも燻りつづけるだろう。
戦後史の解放I 歴史認識とは何か: 日露戦争からアジア太平洋戦争まで (新潮選書)
- 作者: 細谷雄一
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マシュマロテスト 意識と無意識の二つの自己についてめぐる
マシュマロテストというものがあって、小さい時にマシュマロを我慢できた子は、
将来成功するという話。
で、早川書房から出た「マシュマロ・テスト」についても、副題が「成功する子・しない子」とあるからてっきり上記のマシュマロ我慢した子は将来成功するということを書いたものだと思ったら、ちがった。
ガチな心理学書だった。
原題には「Mastering Self-Control」とあって、自制心の科学についての書。
心理学には「意識/無意識」ということが広く知られているけど、それを現代的にさらに詳細にしたのがカーネンマンの「ファスト/スロー」だったり、
この本でいう「ホット/クール」なシステムだ。
この二つのシステムは絡み合っていて、必ずしも意識/クール/スローな認知システムだけが大事じゃなくて、無意識/ホット/ファストな情動システムも重要だ。
わたしてきには、それぞれの状況で優位になるシステムに対して、逆張りがすることが重要かと思う。
ニュースや人の感情や様々な状況で、瞬時な自動的なホット=ファストシステムが優位になるが、そーゆうときは、前頭葉を働かせ、冷静に熟考してクール=スローシステムを働かせて判断する。
カーネンマンは「ファスト/スロー」の言い換えとして「記憶する自己/経験する自己」という対応を提案していて、「子育てのパラドックス」で言う、子育ての日々は辛いが、記憶する自己によって、喜びに満ちた思い出/記憶/物語になる。
しかし、一方でわたしは頭で自分語りするだけではなくバーチャルになってり、言葉の不安が自己増殖する。
「身体の声」、今現在生きてる、存在を持続的に味わう、経験する自己、ホットでファスト、無意識のシステムを機にすることは、実際に慢性的なストレス、疲労しているかどうか、メンタルに役に立つ。
わたしの身体こそ、わたしが生きていることに全てもれなく気づいて、反応している。この意識はどうしてもその中の一部だけ、抽象化していると言えないこともないが。
ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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子育てのパラドックスーー「親になること」は人生をどう変えるのか
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原因と結果の理解にミクロなメカニズムが必要なわけではない。
最近では、福島県の健康調査の結果をデータ解析して甲状腺がんの多発を示したことでニュースになった津田俊彦の本「医学的根拠とは何か」と「医学と仮説」。
Thyroid Cancer Detection by Ultrasound Among Residents Ages... : Epidemiology
わたしは元々高専で工学系であり、大学で物理をやってきたので、メカニズム、特にミクロなメカニズムがわからないと理解したことにはならない、と思ってました。
しかし、ここではヒュームの原因論を持ち出しており、
その原因の定義とは・・・「原因がなければ結果がないこと」。
つまりは、原因によって結果が生じるならば、原因がなければ結果が生じない。
これって、まんま仏教の12支縁起で、無明が原因となって、心や物質や感覚が原因と結果で連鎖的に生じて、欲望、執着、生、死が連鎖的に生じる。
逆に無明という原因がなくなれば、原因と結果の連鎖である自我も欲望も執着も生死もなくなるというアレだ。
現代の医学では、統計というツールをつかって、多数の人間を観察して数量化することで、原因と結果を確定する。
例えば、タバコでガンになるならば、タバコを吸う以外に違いがないグループを比較して、たばこを吸わないグループが吸うグループに比べ、ガンの発生率が小さいならば、
たばこによってガンが生じ、タバコがなくなったことでガンがなくなっている。
つまり、ガンの原因は「タバコ」である。
ここでは原因についてメカニズムの解明が必要なわけではない。
統計調査の方法が妥当であれば原因は解明されたと言える。
わたしは古い科学観をもっていたんだと、がーんとショックを受けた。
統計について、世界を数量化することについて、世界観をアップデートせねば。
医学と仮説――原因と結果の科学を考える (岩波科学ライブラリー)
- 作者: 津田敏秀
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たしか、12支縁起について詳しく書いてありました。
子育てのパラドックス ALL JOY AND NO FUN
子育てによる親への影響を書いた本。
最近の心理学や幸福の調査で知られることだが、
「結婚は人を幸福にするが、子供を持つと幸福度は低下する」
という事実に真正面から向き合う。
「人生の目的とは幸福になることだ」ということをいう人がいる。
でも、幸福を求めて行動するって少ないじゃないかな。
幸福が目的ならば、脳内物質を出せばいいじゃん。幸福って、結果でしょ。
本でもロバート・ノージックの”経験機械”どんな経験でも与えてくれる万能機械について述べられている。
わたしは幸福って「フロー体験」なんじゃないかなと思ってたけど…
子供ができることでフローが散々邪魔される。
結局のところ原題が全て表現している。
「ALL JOY AND NO FUN」
喜びは楽しいこと、幸福に似ているけど、同じことじゃない。もっと奥深い。
たとえ苦悩があってもそれが喜びにつながるし、感慨深いものだったりする。
子育てのパラドックスーー「親になること」は人生をどう変えるのか
- 作者: ジェニファー・シニア,高山真由美
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