育休(予定)日記

春から育休取得予定です(男性です)

原因と結果の理解にミクロなメカニズムが必要なわけではない。

最近では、福島県の健康調査の結果をデータ解析して甲状腺がんの多発を示したことでニュースになった津田俊彦の本「医学的根拠とは何か」と「医学と仮説」。

Thyroid Cancer Detection by Ultrasound Among Residents Ages... : Epidemiology

わたしは元々高専で工学系であり、大学で物理をやってきたので、メカニズム、特にミクロなメカニズムがわからないと理解したことにはならない、と思ってました。

しかし、ここではヒュームの原因論を持ち出しており、
その原因の定義とは・・・「原因がなければ結果がないこと」。
つまりは、原因によって結果が生じるならば、原因がなければ結果が生じない。

これって、まんま仏教の12支縁起で、無明が原因となって、心や物質や感覚が原因と結果で連鎖的に生じて、欲望、執着、生、死が連鎖的に生じる。
逆に無明という原因がなくなれば、原因と結果の連鎖である自我も欲望も執着も生死もなくなるというアレだ。

現代の医学では、統計というツールをつかって、多数の人間を観察して数量化することで、原因と結果を確定する。

例えば、タバコでガンになるならば、タバコを吸う以外に違いがないグループを比較して、たばこを吸わないグループが吸うグループに比べ、ガンの発生率が小さいならば、
たばこによってガンが生じ、タバコがなくなったことでガンがなくなっている。

つまり、ガンの原因は「タバコ」である。

ここでは原因についてメカニズムの解明が必要なわけではない。
統計調査の方法が妥当であれば原因は解明されたと言える。

わたしは古い科学観をもっていたんだと、がーんとショックを受けた。
統計について、世界を数量化することについて、世界観をアップデートせねば。

医学的根拠とは何か (岩波新書)

医学的根拠とは何か (岩波新書)

 

 

医学と仮説――原因と結果の科学を考える (岩波科学ライブラリー)

医学と仮説――原因と結果の科学を考える (岩波科学ライブラリー)

 

 たしか、12支縁起について詳しく書いてありました。

仏教 (図解雑学)

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